先日中国上海に行ってきました。
事前に調べた天気予報によると東京とさほど 変わらない気温が続きそうで、でも訪中の間はぐっと気温が下がりそうな気配も 感じたためほっかほっかを2パックを持ちスポーツ観戦用のロングコートを着込んで出かけました。
関空からの機内で先行上映のマンマミーアを観て昔を思い出すABBAのヒットメドレーに熱くなり、どうしても60歳になるメリルストリープの40歳そこそこの役柄に憤りを感じながらも自分の娘のいつか嫁ぐ日を想像し
ながら、あっという間に浦東に到着しました。リニアモーターカーと地下鉄では 特に寒さは感じなかったのですが、地上に出た瞬間にど〜んと来たのです。まだ 夜の6時ごろです。風は無く町の明かりも月の明かりも渋滞する道路も騒々しい
クラクションも日本でよく見る風景なのですが寒さは相当なもので顔の皮膚がびりびりとしびれてくるのです。日本の雪国や北風のぴゅーぴゅー鳴る寒さと全くちがうのです。目にするものや聞こえるものはこのど〜んと来る寒さを連想でき
ないのです。気温はその時マイナス9度で本当なら宿泊地までタクシーで行くは ずのところ大渋滞のためにとぼとぼ歩いて行く羽目になってしまいました。吐く息が凍るというのは本当はこれだとおもいながら歩きABBAの歌を思い出そうとしても思い出せないのが悔しかったのです。30分ほど歩いて到着した宿泊地は部
屋の中に入ってもエアコンをつけてもまだまだ温かくならず機内の残りの赤ワインでしばらく気をまぎらせました。翌日の予定を考えるといつまでも暖かくなるのを待たずに布団に入る方をえらびパジャマにきがえてみたもののなかなか寝付けない。とうとう持参したほっかほっかをパジャマに貼って持っている服を1枚、2枚と重ね着をして最後にロングコートを着て布団にもぐったのです。やっとうとうとできた時につるつる滑る素材のコートのせいでかぶっていた布団が
すっかり床に落ちてまた寒さで眠れなくなってしまいました。寝不足のまま翌日 の予定が終わって四川料理をみんなでつつきながら昨日の寒さに話題は移ったのです。中国のエアコンが効かなかった説明を聞くと「中国では一番寒い時に暖房は効かなくなり、一番暑い時にクーラーが効かないことがある。エアコンはこん
なにも寒くなるとも暑くなるとも設定して作られていないのでしかたがない」という不思議な説明で更に「だからこの四川料理が必要!」いただいた四川料理の レストランは一人1200円くらいでおなかいっぱいになり野菜もどっさりとることができ、不思議な説明でもまあいいか、とさえ思えるようになりました。昨晩の寒さは二度とごめんだけれどこのオコゼみたいな魚のぐつぐつ煮ながら食べる料理は何回でも食べたいと思いました。このころはABBAはすっかり頭から消え
ていました。
2日目は想定内の気温だったらしくエアコンは十分に効果的で温かく嘘のように陽だまりはぽかぽかして中国の年末のバーゲンがあちこち開催され てたくさんの荷物を持つ人々が歩いていました。帰りの機内でもう一度マンマ
ミーアを観てやっぱり熱くなり、あのオコゼのぐつぐつ煮もほとんど記憶から消えて怖いくらい寒かったのも済んだ事だからとエアコンの恨みも忘れることがで きましたが、ABBAを忘れていないのはそれほど曲がすばらしいためなのか青春時代だったからなのか、たぶん後者のような気がします。辛いことは忘れて楽し
かったことだけ思い出せれば幸せかもしれない。 |